二式単戦鍾馗

日本陸軍にも世界を見ていた連中が居た。高速爆撃機迎撃用の速度と加速力、上昇力と突っ込みを重視した縦方向の高速空中戦用戦闘機を重戦として、ME109を目標にキー44を開発した。しかし低空低速でのフワフワとしたスポーツ機のような巴戦用戦闘機に慣れたベテラン搭乗員はこの本物の高速戦闘機に戸惑い、嫌った。「前方視界が悪い」「着陸速度が速すぎる」「小回りが出来ない」「操縦が難しい」などの評判は、嫌ったが故のこじ付けに過ぎない。搭乗したドイツ人パイロットは「日本人がこの戦闘機を乗りこなしたら、世界一の空軍ができる」と絶賛した。戦後の米国の評価試験でも操縦性に問題は指摘されていない。日本機として初めて60kgもの防弾鋼板を装備する本物の高速戦闘機に戸惑った当時の日本人ベテラン搭乗員の技量が悲しい。初飛行は40年10月。
性能所元         ニ型乙
全長           8.84m
全幅           9.45m
全高           3.24m
翼面積         15㎡
重量           2106kg
エンジン         ハー109
離昇出力        1500馬力
最高速度        615km(5200m)
上昇限度        10820m
航続距離        1600km
武装          12.7ミリ機関銃×4(250発)
爆弾           30~100kg×2